カミュ「最初の人間」の試写会

東京新聞の販売店からもらった映画の試写会に行った。
フランスの作家アルベール・カミュの遺作「最初の人間」を映画化したものだ。異邦人やペストで有名。アルジェリア独立戦争をめぐってサルトルと決別した。フランス植民者の立場で独立戦争に距離を置いた。わたしはそう理解していた。

どうも私の理解は短絡していたようで、この映画を見るとカミュは苦労しただけに弱いものへの優しい視線、体を張ってアラブ人の同級生の子供を助けようとした。「アルジェリアはフランスのもの」と騒ぐ学生を前に、アルジェリア人との共生を講演したが、妨害に合い散々な目に合う・・・・そういう自伝的なことを書いたもの、交通事故で死亡し完成しなかった小説の映画化だ。

「アルジェの戦い」という映画を学生の時に見た。アラブ人の住居、カスバ、入り組んだ街路、そこで抵抗する人たちの絶望的な戦い。活動家が次々摘発され、殲滅され、もうどうにもならなくなった状況で、でも、圧倒的なたくさんの大衆が手と手を合わせて道一杯に歩くフランスデモを繰り広げて終わる感動的な映画だった。

アルジェリアはたいへんな犠牲を払い独立した。でもその後を我々は知っている。抵抗し独立しフランス人を追い出したけども、結局何のことはない、パリにつながったアルジェリアの手先が支配者になって、占領時代と変わらない。

「最初の人間」で、カミュはアラブ人との共存を求め、専横支配するフランス人を批判、そして一方で独立のために暴力を使う解放運動を批判する。「平穏にくらす私の母を傷つけるようなことは絶対許さない」、と。

カミュの言いたかったことは、寛容だろう。アルジェリアはアラブ人のものだ、でもフランス人も現にいる、自分もここで生まれた。これを追い出すのではなく、一緒に住む方法がある。白か黒ではない、灰色でいいじゃないか。今だったらこういうこともわかるが、当時の右翼か左翼という中では、独立か占領維持かの二極対立では孤立せざるをえなかった。

真面目な人だったと見直した。
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プロフィール

和田 伸夫

Author:和田 伸夫
全石油ゼネラル石油労働組合の事務局長をしています。
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