モンドラゴンの危機

昨年、労働者生産協同組合として8万余の「大企業」となったスペインのモンドラゴンの中心企業が経営破たんした。モンドラゴンは生産・流通・金融・教育を労働者が自腹を切って事業を起こす労働者事業団であり、世界一の事業団だ。その一翼というか中心部隊のファゴール家電が南欧の経済破綻の直撃を受け自己破産した。スペインはユーロの恩恵を受け住宅バブル、そしてバブル崩壊をした。ファゴールも拡大路線のしっぺ返しを食った。

18日、池袋で「AA連帯」という団体が「モンドラゴン協同組合を知り、考える」という集会を開いたので、顔を出した。

労働者が資金をだし経営を自分たちでやる労働者協同組合。その成功例としてモンドラゴンは知られてきた。
消費流通の生活協同組合は世界中に広がっている。自主運営の内実はともかく、農協・漁協や森林組合のような第一次産業の出資経営方式も一般的だ。しかし、労働者が工場生産を管理する例はあまり聞かない。倒産争議の一時的な戦術としてはあるし、ニッチの隙間産業止まりだ。モンドラゴンは家電生産でスペインの巨大産業になり、企業経営でない別の労働者による事業としてフラッシュライトを浴びたのだ、が。

ユーゴスラビアの実験が失敗し、つまり工場をはじめとしたそれぞれの事業所で労働者が経営を担う労働者自治管理のユーゴは、カリスマのチトー大統領の死去とともに民族戦争になり崩壊した。ソ連のような強権的な計画経済ではなく、労働者の自治で工場ばかりか地域、国を経営する。その夢はユーゴとともに雲散霧消。それ以来、資本主義に代わる別の社会編成としての労働者自主管理をだれも言わなくなった。私も言わなかったが、モンドラゴンにもしや!と期待していた。

しかしそう甘くはなかった。スペインのバスクで地方的にやっているならともかく、国際企業になったら当然世界経済に翻弄される。そして倒産した。

集会を聞く限り、出資した労働者は手厚く処遇された。つまり、早期退職や生協事業体内転職、あるいは退職し教育訓練へ。スペインでは25%の失業率、青年層では50%を超す。だから一般的な労働者の扱いとは違い、保障された。しかし、なぜ破産するまでに至ったのか、・・・・・・・・・・・まだ混乱を総括できる状態ではないのだろう。

モンドラゴンの創設者はフランコの反乱と戦ったカトリック神父。1956年に職業訓練学校を作り、その卒業生が石油ストーブを作った。それがドラゴンの始まりだ。神父は労働者教育を重視した。「労働を通じた結を」「誰も奴隷でなく平等である」との信念がこの事業体を作った。

講演会だけではなぜバブルと道連れになるほど多国籍化・大規模化したのか、労働者はその危険性を感じなかったのか、わからない、まずかった失敗の経験をさらけ出してほしい、それが今後の糧になると思う。
私はあいかわらず労働者の自治自主管理に希望をみているのだが・・・・。


船戸与一「伝説なき地」読了。二度目だった。
ベネズエラはマラカイボ湖近くの枯れた原油掘削地に希少金属の埋蔵が発見された。そこで降る血の雨。白人帝国主義とその傀儡への容赦をしない著者の視線。そして解放戦士はぼろくそのように戦い半ばで死んでいく哀歌。

「イスラム国」という悪魔が現れた。奴隷制を容認などと、とんでもない集団だ。
なぜ!
イラク人がどれだけ悲惨な目にあったのか、そして海外からの義勇兵が1万5千人といわれるが、彼らがなぜそこに希望を見出しているのか。欧米、特にアメリカのやっていることがこの悪魔を作った。日本がアメリカの手先になってこれに加わるのが見えている現在、深いところで船戸の小説は考えさせられる。
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和田 伸夫

Author:和田 伸夫
全石油ゼネラル石油労働組合の事務局長をしています。
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